「今回のようなイタリアの学会のために、わざわざ念入りに準備して講演に来る人がいるとは思われなかった。そういう集りは、決まったように、イタリア語を知らない招待者が少しばかりと、おおぜいのイタリア人がいっしょになって開かれるものだが、来訪者にとって唯一の共通語である英語で早くしゃべられると、ほとんどのイタリア人はついていけなくなってしまうのである。こういう集会は、つまるところ、名勝旧跡への遠出がヤマであって、お座なりの意見以外に、ほとんど得るところがないものである。」(二重らせん、ジェームス・D・ワトソン著、江上不二夫・中村桂子訳)